歯科医院に来たおじいちゃん
おかか さん からの投稿
とある田舎の歯科医院で、働いていた時のことです。
朝一番に、自転車で患者さんのおじいちゃんが来ました。
「新しく作った入れ歯が痛いから、ちょっと削ってもらえますか。」
そのおじいちゃんは、総入れ歯で、昨日新しい入れ歯がようやく完成したのですが、食事をすると痛みがあるとのことで来たのです。
その日は予約がいっぱいで、待ってもらうことになりました。
1時間近くお待たせしてしまい、やっとおじいちゃんの番になりました。
「中へどうぞー。」
診療台に座り、痛いところを訴えるおじいちゃん。
「食べるとここが痛かったんだよ。」
「はい、この辺ですね。調べて調整していきますね。」
先生が口の中を確認し、入れ歯の調整をしようと準備をしました。
「おじいちゃん、入れ歯はありますか?」
「…あれ?」
入れ歯の調整に来たおじいちゃんは、入れ歯を家に忘れてきてしまったのです(笑)
1時間近くお待たせしてしまったものの、入れ歯がないとなにもしようがなく、おじいちゃんは残念そうに帰られました。
朝一番にはりきって来てくれた、可愛いおじいちゃん。
お待たせして申し訳ない気持ちもあったものの、先生も私も笑ってしまいました。